誰でも、仕事でミスするのはイヤですよね。
私が数年前にやらかした件
非常に単純なミスです。
お金を送金するために記入する出金票には、当然のことながら、送金額の欄と手数料の欄が別々に設けられています。が、今回、なぜか私は手数料を足して、送金額の欄に記入してしまいました。さらに手数料欄にも、手数料を書き入れてありました。
つまり、手数料を2重に支払ったわけです。
このミスを1ヶ月後に見つけた時、信じられない思いでした。今まで何十回も行ってきた作業なのに……。
まさか、こんな事を自分がやるなんて。
でも、自分なのです。いつもよりも、丁寧に書いた字にも見えて、「この時の自分は、いったいどうしてしまっていたのか」と、恐怖すら感じました。自分は、病気なのかしら?とも思ったり。
幸い、というか何というか、上司がすごくよく出来た人で、責められませんでした。
「あ、これは間違えちゃいけません」
と、いつものようにおだやかにおっしゃっただけです。
すごい……。私だったらイヤミっぽく言ってしまいそうな気がするのですが、私の上司はその一言を言っただけで、すぐ本部の会計担当のトップに電話して
「こういうミスをしてしまったのですが、どう処理したらいいですかね?」
と相談して、後処理方法をサクッと決めて、淡々と私に指示してくれたのでした。
「◯さん(上司)のお手を煩わせないよう、もう2度とこんなミスはしないぞ!」と心に誓いました。
なぜ私はそのミスをしたのか?
アタマと心の混乱が鎮まってくると、少しずつ、興味がわいてきました。
なぜ、自分はこのような事をやってしまったのだろう?という興味です。
思い返せば、前職でも、ここまでバカみたいな間違いではなかったですが、「うっかりミス」は、ちょくちょくありました。
私がおっちょこちょいだ、と一言で片づけたら終わるのですが、もう、心底本当にこのようなミスはしたくない!
自分で思いつくポカミス対策というと、
① 今後は金額を記入する時に今まで以上に注意する
② なにか書類を書いたら、5回はチェックする
くらいのものでした……。これだけだとあまりにもふんわりとしています。「今まで以上に注意する」って何ですか。またミスを繰り返しそうではありませんか。
自分としては不安が解消されず、なにか良い手はないものか?と思い、いくつかミスに関する書籍を参考にすることにしました。
仕事とミスに関する書籍
1:『仕事が速いのにミスしない人は何をしているのか?』(飯野謙次)
前職の同僚で、ほんっとに仕事が速く正確で、重たい仕事を抱えているのに、毎日サクッと定時に帰る女性がいました。その人のことを思い出し、タイトルとブックレビューを参考に選んでみました。
…これは、ボリュームのある仕事をスピーディに終わらせるために、どのように時間的な無駄を省くか、ということに焦点が当てられていて、(タイトルの通りといえばその通りです(笑))私がやらかしたような、くだらなすぎるポカミスを無くすためにはどうするか、という事は考察されていないです。
ただし、本書にはうっかりミス(ちょっとした事を忘れるミス)、ケアレスミスを無くすためのアイディアが載っています。
・付箋を使用する。
・チェックリストの作り方、ダブルチェックの仕方を工夫する。日本版・USA版について解説されております。
2:『なぜかミスをしない人の思考法』(中尾政之)
「失敗学」という言葉を以前耳にして記憶に残っていたので、参考になるかもしれないと思って選びました。
大きな企業や組織の経営・運営における失敗とその予防策、失敗をビジネスに活かすヒントが論じられています。びっくりするような具体的なエピソードがいろいろ紹介されていて、興味深かったです。
私のやらかしたポカミスを無くす方法、という小さすぎる問題との接点はなかったです(笑)。
3:『図解 仕事のミスが絶対なくなる頭の使い方』(宇都出雅巳)(2016)
結果から言うと、大当たりでした!!私が求めていた本といえます。
まず序文で心を掴まれました。「人は自分の脳を過信しすぎている」「脳は思いのほか頼りになりません」
そして、仕事のミスを4パターンに分けています。
(1) メモリーミス
(2) アテンションミス
(3) コミュニケーションミス
(4) ディシジョンミス
ミスを語る上で、このようにパターン化するのは画期的なんじゃないかと思いました。一口にミスと言っても、それぞれ性質が異なるものがあるのですね。自分がどのパターンのミスを冒しやすいか、振り返りがしやすくて、助かります。
『図解 仕事のミスが絶対なくなる頭の使い方』(宇都出雅巳)(2019)
(※本書は、2016年に刊行された『仕事のミスが絶対なくなる頭の使い方』から内容を抽出し、図解を加えたバージョンです)
大抵の本は、「仕事上の失敗をなくす方法、仕事の効率アップ」を熱く語っているのですが、この本は少々スタンスが違います。
まず、「自分の脳を信じるな」というメッセージから始まる
これは新鮮でした。そういう前提から始まる本は初めてでしたので。
思いのほか、人間の記憶やら意識はいいかげんなものだということを、しっかり認識することが大事。
「自分の脳の使い方を変えることで、世間のビジネス書で説かれているアドバイスを実践できるようになること」
が目的だと書かれてあります。
「本書を通じて仕事のミスと向き合うことは、あなたの記憶、あなた自身と向き合うことでもあります」と宇都出先生はサラッと書いています。
私は最初、ここの文章の意味がよくわかりませんでした。しかし、何度も何度も繰り返して読むと、この箇所の重みがじわじわ染みて来ます。ここが、本書の肝と言えるかもしれません。
ミスのパターン分けが新鮮
(1) メモリーミス (忘れた)
(2) アテンションミス(見落とした)
(3) コミュニケーションミス(伝わっていない、聞いていない)
(4) ディシジョンミス(判断を間違えた)
まずは仕事のミスはこの4つに分けられるそうです。
具体的には
(1)メモリーミス:頼まれごとを忘れる、さっきまで覚えていた用事を忘れる、書類をどこに置いたか忘れる、人の顔と名前が覚えられない、会社の大事な数字を覚えていないなど
(2)アテンションミス:文章の誤字脱字、メール送信先の誤り、数字の桁間違え、注意散漫で仕事が進まないなど
(3)コミュニケーションミス:理解したつもりが勘違い、説明したつもりが説明不足、相手が気分を害してしまった、こちらの思いが伝わらないなど
(4)ジャッジメントミス:自己判断によるミス、勘で動いたことによるミス、思い込みによるミス、惰性や習慣によるミスなど
私の起こしやすいミス
これはもうズバリ(2)アテンションミスです。
今回の私のポカミスは、
- 書類への金額記入ミス (実はその後、ペーパーレス化が進みインターネット送金に切り替わったので、この作業は無くなりました。手数料のミスも発生しなくなったので、非常に喜ばしい限りです。)
これまでの職場ではお金を扱うことがなかったので、このようなミスはしてこなかったのですが、よくやらかしたのが、
- Emailのccに入れるべき人を入れ忘れる
- 添付ファイルの取り違え
前職では(4)のジャッジメントミスも多少あったのですが、今の職場では幸い、やらかしていません…。
アテンションミスをなくしたい!!
それでは、アテンションミスの原因と対策は何でしょうか。
アテンションミスの原因
このミスを頻発する人は次のような人である、と宇都出先生は書いています。
- 脳のワーキングメモリに余裕がない
- 注意(アテンション)を浪費している
アテンションミスを起こしやすい私は、こういう人間なのか……、と妙な気分でした。…… そもそも、ワーキングメモリって何なん?
しかし、説明を繰り返し読んでみると、「ああ、ホントに自分ってそうだわ!!」と思いました。
腑に落ちたときは、本当に感心しました。